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「上司からのパワハラがひどい」との申告があった場合、どうすればいいのでしょうか。
まず、会社は、被害を訴えている部下、加害を疑われている上司、それぞれから話を聞く必要があります。
上司がパワハラをしてしまったと素直に認めてくれればそれで事実確認できるのですが、パワハラをする人は悪気なく、仕事熱心さから、使命感で指導している意識が強いので、自覚がない場合が多いのです。
日頃から自分のやり方は厳しすぎるかもしれないと上司が薄々感づいている場合でも、いざ「それはパワハラです。」と言われると反発します。
「自分は仕事に甘えが出ないように、職場の雰囲気を引き締めるために、憎まれたり嫌われる役割を引き受けてきたのだ。会社のために損な役回りをしてきたのに、この扱いは一体何だ!」と自分を正当化する心理が上司に働きます。
セクハラの場合には、加害者が後ろめたい気持ちを持っている場合が多いのと対照的です。
例えば、上司による飲酒の強要はパワハラに当たるとの判断が裁判例では固まっています。
しかし、上司が「円滑な人間関係を築いたり、コミュニケーション能力を高めるために飲みニケーションは重要。自分の頃は飲めないなら飲めないなりに、努力はしたもんだ。」という強い信念を持っている場合があります。
実際に、この上司が営業職で、取引先の接待で優れた成績を出していれば、成果が出ないのに飲み会も断る部下に対して、「一体、何なんだ。甘えるな。」という気持ちを持っても不思議ではありません。
そして、経営者も同じような感覚を持っている場合、上司が正しいという判断を下してしまうことになります。
これは危険です。
確かに、上司の想いや熱意も大切です。
ただ、そうはいっても、パワハラに当たるかどうかの判断をする場合には、やはり裁判例などで通用している物差しを使わざるをえないのです。
さらに、一層判断が難しくなるのは、長時間労働をしていたり、責任が重い仕事をしている従業員に対して叱責をした時です。
長時間労働や重責にさらされていると、人は脆弱な状態に陥ります。
脆弱な状態にいると、通常であればそれほどダメージを与えない程度の叱責や指導でも、心が折れて精神疾患に陥ってしまう可能性があります。
そういう場合、厳しすぎる叱責とまでは思えない場合でも、会社が責任を負う裁判例が出ています。
従業員に生じた精神的なダメージ、働けなくなったことに対する補償、転職を余儀なくされた場合の収入の減少分等、さまざまな損害を賠償する責任を負わされてしまうのです。
そういう意味でも、パワハラが発生する前、深刻な問題になる前に、「もう時代は変わったんだよね。怒鳴ったり強く叱ったりするのはまずいね。」という雰囲気を職場に作っていくことが大切なのです。
「うちの職場ではそんな雰囲気を作るのは無理無理」とおっしゃる社長さんもいるかもしれません。
ただ、パワハラやセクハラに対しても、現在と比べて大目に見られていた90年代とは異なり、認識が大きく変わっています。
できないことはないはずです。
仮に、パワハラはダメという雰囲気を完全に定着させることに成功しなかったとしても、日頃から会社がそういったメッセージを発信していれば、いざ、トラブルが起きて加害者を処分せざるを得ないことになった場合でも、何もしなかった場合と比べて、加害者側にも納得感が得られると思います。
また、「うちの業界では厳しい指導は当たり前。他の会社でも普通にやってることだ。」という声を聞くこともあります。
ただ、どこの業界とは言いませんが、部下へのパワハラ的な言動が日常的だと言われていた業界も、近年はだいぶ変わってきているところが多いようです。
なぜなら、そうしないと、若い人たちが敬遠して、人が集まらないからです。
これからは労働者人口が減り、ますます人手不足の時代になると言われます。
コンプライアンスだけではなく、会社を存続させていくためにも、パワハラ対策が重要になってきていると言えます。
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